サンフランシスコの空きビル

来年こそ景気が回復しますように

もうすぐ年が暮れようとしている。本当に早いものだ。今年はよい年だった?そんなことを振り返り、来年への期待をつのらせるころとなった。
延々と続く深刻な不景気から、日本は依然立ち直れないでいるが、サンフランシスコも例外ではなく、ここ数年、不景気感に苛まれている。新しくやってくる年への願いを膨らませる人たちが多いにちがいない。

1998年から始まって2001年まで、サンフランシスコはドット・コム時代として急激に発展した。ハイテクと言えば名を上げられるサンノゼがシリコンバレーと呼ばれるのに対して、ドット・コム時代にモータイメディア・ガルチ(multimedia gulch)と呼ばれ、マルチメディアの発信地として栄えたサンフランシスコ。

ダウンタウンにあるマーケット通りの南側、サウスマーケット地区にあった古い倉庫など大小の建物が、瞬く間にオフィスやマンションに改装されて新しい街に変わったほどだ。

そこで様々なドット・コム会社が次々に立ち上げられ、新しい職を生んで、カリフォルニア州各地からだけでなく、他の州からさえも多くの人たちがこの街に群がってきた。多くの会社が株式に上場され、ドット・コムのバブルの成長とともに株価が暴騰し、そんな自社株をたくさん保有する二十代や三十代といった若い世代の職員たちが一夜にして手にした大金をもって、そのマンションに移り住み、BMWやベンツを乗り回した。

それが数年前のバブルの崩壊とともに、株の下落を呼び会社の倒産が相次ぎ、そこで働いていた人たちが職を失い、再就職先を求めてさ迷い歩くことになった。
バブル時代が長続きすることを見込んで改装、立て替えをし続けた土地開発者は、今、売れ残りのスペースやマンションを手に余している。ダウンタウンにある建物のうち、借り手の無いオフィス・スペースは現在22パーセンにもなるという。

モータイメディア・ガルチの中心だったサウスマーケット地区でのその率はさらに高いことだろう。職を失って、マンションを手放さなければならなくなった人たちもいる。どうしても次の仕事がみつからなくて、生活費の高いサンフランシスコを去る羽目になる人たちもいるらしい
。この不景気とともに市の人口が流失しているという数字があがっている。米国政府が発表するところによれば、景気はすでに底打ちし回復に向かっているという。サンフランシスコでは、家賃の下落が手伝って、ここにきてやっと市内に新たにオフィスを借りる会社が出てきているらしい。

このまま、景気回復の兆しがあちこちで出てくるようになるといいのだけれど。まさに、来年こそは、是非、良い年にと、祈らないではいられない。

(2003/12)
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