サンフランシスコの市場のまぐろ

まぐろは水銀が体に溜まってしまう?

「寿司はひょっとしたら体に悪いものかもしれない」と題した記事の見出しが目を引いた。
記事によると、あるグループがロスアンジェルスにある6つのトップクラスの寿司レストランで出されるまぐろの水銀含有量を調べたところ、一般にまぐろに含まれていると言われているレベルよりもはるかに多くの水銀が含まれていたと言う内容。寿司レストランで使われるような上等なまぐろは、何年もかけて大きく育ってから食べられるので、それだけ水銀が体に溜まってしまっているらしい。まぐろに比べて短い期間で育つえびやサーモンは水銀含有量が低いとも言及している。

この記事と前後して関連したニュースが何度かテレビでも流れた。健康食として知られる日本食。その代表的な料理として評判のあるのが寿司。しかも、まぐろはこのあたりでは人気の寿司ネタときている。ショッキングなトピックとして大きく取り上げられる理由かもしれない。

衣食住すべてにわたって、私たちは便利性や必要性から化学物質に囲まれて暮らしている。
その汚染がこれだけ土壌や空気や水のなかに浸透すると、そのすべてが流れ込む海に住む魚たちに有害物質が蓄積していくのも無理はないのかもしれない。

でも、魚と言えば、ご存知のように多くの栄養学的な利点がある。総コレステロールや中性脂肪を低下させる、血圧を正常化させる、血栓の形成を抑制する、など脳梗塞や心筋梗塞などの予防に役立つ。それにカルシウムを含むから歯や骨の形成に貢献するし、貧血予防や視力回復、また、体内での酵素作用を活性化させたり、脳の働きを活発化させるという大事な働きもするらしい。
妊娠中に水銀含有量の少ない魚の摂取量が多いほど、生まれた子どもの認知能力が高いという結果まで報告されているようだ。

同グループによれば、同じまぐろでも種類やとれる場所によって水銀含有量が違ってくるという。もちろん魚の年齢にも関係しているのだろう。
すべてのまぐろが悪者とは言えないようにも思うが。とにかく、水銀は体によいものではないのだから、一般的に水銀含有量が高いとされる魚(まぐろ、かつお、ぶりなど)を控えめにして、含有量が少ないとされる魚(えび、サーモン、いわし、いかなど)をとるようにということか。

また、私たちの体にとって危険因子になるのはなにも水銀だけではない。それに栄養学的因子も忘れてはならないだろう。同じ魚ばかりでなく、偏りがないように種類を替えて、栄養学的利点が生きるように、いろいろな魚を食べたほうがいいと言えるのかもしれない。

とにかく、こんな結果が発表されたが、魚のもつ本来の良さを忘れてほしくないし、まぐろがすべての魚に置き換えられて、魚離れや寿司離れを招かないことを祈りたい。

(2006/03)
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