サンフランシスコのアーティストのショーケース

アーティストの作品でストアフロントを飾ろう

街はホリディシーズンの雰囲気に染まっている。
11月末のサンクスギビングが終わると、人々はいっきにクリスマスショッピングに沸いてくる。サンクスギビング明けの金曜日は激しいクリスマス商戦が開始される日でブラックフライディと呼ばれる。デパートやショップはクリスマスプレゼントを買う客の財布をがっちりとつかもうと、どれだけ豊富な品揃えが、どれだけ大きなディスカウントで店先を飾るのかを競ってアピールしようとする。今年は特に、財布の紐の固い客をなんとかわれ先につかもうとする状況だけに商戦は厳しいスタートをきった。

低迷が続くこの悪景気はこのシーズン特有の浮き浮きムードをどこかで沈めている。でもそんな状況を元気づけてくれるプロジェクトがつくられた。マーケット通り沿いにアーティストたちの作品を陳列して、街に彩りを加え活気を取り戻そうというもの。

不景気のためにテナントを失いドアを閉め空になってしまったビルのストアフロントを市内で活動する新進気鋭のアーティストの作品で飾ろうといったプロジェクト。通りを歩く人たちの気分を盛り上げ、楽しませ、ひいては飾られたビルの貸し出しにつながるようにして、街の景気を再活性しようといった趣向だ。

マーケット通りを歩いてみると、確かに空きビルが目につく。特にエンバーカデーロから西に向かって5thStreetを過ぎると、寒そうな顔をしたビルが並んでいる。湾に近いエンバーカデーロ近辺とは違いもともとあまり安全だと言われていないエリアだけに空になったビルにはスプレー缶を使って落書きなどがされ、さらに荒れ果てた雰囲気を漂よわせている。アーティストたちの創造性によってここを通り過ぎる人たちの心を暖めてくれるエリアになってくれることを望んでしまう。

アーティストの作品でストアフロントを飾ろうというこのプロジェクトは、今マーケット通りだけでなくミッション地区やベイビュー地区、テンダロイン地区に広げられている。陳列は来年1月まで続く予定になっている。街に新しい風が流れるだろうか。

今回の不景気が始まって以来、新しく職を失った人の数が最も少なくなったとのニュースが発表された。こんな数字のように、これから景気はよい方向に向かっていくだろうか。

新しい年がそこまでやってきている。アーティストたちのクリエイティビティのように、前向きな兆しが少しずつ新しく生まれ、徐々にでも景気が回復していくことを心から願う。

(2009/12)
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