4.自分を愛することを知る。

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くつろぎのおやつタイム

先日、取材でお会いしたご夫婦は、おふたり一緒に翻訳をなさっているステキなご夫婦でした。結婚して20年近くとおしゃっていたでしょうか。共に相手の長所、短所をきちんとわかったうえで、お互いを尊重し合える距離感を保っているのが印象的でした。

ご夫婦の歴史をうかがう取材だったのですが、締めくくりに現在のお互いに対する想いを質問しました。すると、奥様は「とても自分勝手な人だと思う。相手の気持ちを考えようとすることがない」とおっしゃいました。仲睦まじい様子とはうって変わったその言葉にとまどっていると、その意見を引き受けるようにご主人がおっしゃいました。「そんなのは当たり前。人間は誰でも正しく自分勝手でなければいけないと、僕は思っています。自分がどれだけ自分を愛せるか。しいてはそれが彼女を愛することにもなるんです」と。

ハッとしました。漠然と自分勝手はいけない。つねに人の立場にたってものごとを考えなければいけないと考えてきましたが、果してそうなのでしょうか。誤解しないでほしいのは、ご主人がおっしゃったのは常に自分だけを考えるということではないのです。そうではなくて、いつも自分を愛せるスタンスに自分を置くこと。自分を好きだと思える状況、つまりそれはいつも機嫌がいいということではないでしょうか。

私はそこにある方程式を感じました。自分自身を振り返ったとき、自分が自分を好きで機嫌のいいときには、回りのこともあまり気にならないものです。たとえば近くにいる誰かがするちょっとしたことや、ちょっとした言葉(それが悪い印象のものでも)にも笑っていることができます。
そんな考え方をする人もいるんだなって。おまけに誰に対してもおおらかな優しい態度を取れるのです。逆に自分を嫌いで、不機嫌なときは、誰かのちょっとした言葉に異常に反応をしたりもします。少しの失礼な態度にも目くじらをたてて怒って、嫌な気分にもなります。

なるほどなと思いました。まずは自分をいい状態に置くこと。自分を好きになることが側にいる誰かとの距離を優しいものにしてくれるのではないでしょうか。そのご夫妻とお話をしてから、私は毎日、お風呂の中で自分の好きな部分(他人から見たらそうは思えなくても、自分自身でそう思う部分)をひとつ考えるようにしました。それは感じのいい作業です。

人間は誰でも正しく自分勝手でなければいけない。自分がどれだけ自分を愛せるか。それが回りを愛することにつながる。今ではその言葉は私の大切なメソッドです。あなたはどれだけ自分を愛せていますか?
自己嫌悪に陥りがちな人や、控えめにいつも自分を抑えている人は、自分を好きになる癖をつければいいのです。今日から1日ひとつ。どんなくだらないことでもいいから、自分の好きなところを思い浮かべてみてください。
きっと1週間後、1ヵ月後には、優しい気持ちになっているはずです。

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