| 扁鵲(へんじゃく)は戦国時代後期の斉国盧の人(孔 |
| 子の時代より200年くらい後)。多くの古典に登場する |
| が、一番詳しいのは司馬遷の『史記』扁鵲倉公伝。 |
| それによれば・・・、扁鵲は性は秦、名は越人とい |
| う。若き日に長桑君という医師に師事し、医術の秘伝書 |
| を与えられ、さらに透視能力を発揮する秘薬も授かっ |
| た。これを飲むと垣根の向こう側の人が透視でき、「病 |
| を視るに、ことごとく五臓の癒結を見る」ことができ |
| た。身体内部の諸臓器の腫れものや腫瘍が透視できたわ |
| けです。X線や超音波診断装置も超能力にはかないませ |
| んネ。 |
| 扁鵲は各地を遍歴し、斉の桓候の病気を予言したり、 |
| 死んだと思われた太子を「起死回生」させたりして |
| 名をあげ、「扁鵲の名、天下に聞こゆ。邯鄲を過り、婦 |
| 人を貴ぶと聞けば、即ち帯下医と為る。洛陽を過り、周 |
| 人の老人を愛すと聞けば、即ち耳目痺医と為る。来りて |
| 威陽に入り、秦人の小児を愛すと聞けば、小児医と為 |
| る。俗に随い変を為す。」随分多芸なお医者さんです |
| が、帯下医とは婦人科のこと。耳目痺医とはこの文から |
| 察するに耳が遠く目がかすみ、手足の痺れた老人をなお |
| す、ということでしょう。それに小児科医ですから、当 |
| 時からずいぶん専門化が進んでいたことがわかります。 |
| もちろん扁鵲が実在の人物であるかどうかは問題になり |
| ません。扁鵲はまたハリ治療の始祖ともされ、現存する |
| 古典では、ハリ治療の問答集である『難経八十一難』を |
| 編纂したといわれています。 |