食エッセンス
20.
ファイトケミカル(phytochemical)


ファイトケミカル(phytochemical)とは

植物性化学物質。ファイト(phyto)ギリシャ語で「植物」+ケミカル(chemical)「植物中の化学物質」という意味。主に野菜や果物に含まれる色・香り・苦み・えぐみの成分で、様々な病気の予防効果が「医食同源」「食薬同源」の立場から期待されている機能性食品因子でもあります。

世界でトップクラスの長寿国である日本の平均寿命は、女性は22年間続いて1位です。男性もアイスランドに続いて2位に再び返り咲き!?になりました。(厚生労働省2007年7月26日)これは、医学の進歩は言うまでもなく、他国に比べて国民皆保険制度の達成と日本的な食生活によるところが大きいと考えられています。

そこで誰でもが望むことは、ガンや生活習慣病と呼ばれている、心臓病・高血圧・糖尿病等の病気に悩まされることなく、どのようにすれば、健康な一生を送ることができるかということです。そして、現代社会には、病気の原因の大きな要素となりかねないストレスという問題を抱えています。個々の対処範囲の差こそあれ、少なからず避けて通ることができない重要な事です。(実際、ストレスに対して、食生活においてフルーツや緑黄色野菜をバランスよく食べている人の方が、強いとも言われてきています。)

今、健康な生活を送る上で、注目されている食物がファイトケミカル。現在、5大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂肪・ビタミン・ミネラル)、第6の栄養素である食物繊維に続いて、第7の栄養素として脚光を浴びてきました。それは、ガンや生活習慣病の原因の一つと言われている活性酸素を除去する抗酸化作用を持っている食品として、健康への予防的な効果が非常に期待されているからです。高価で入手困難なアフリカの砂漠やアマゾンの秘境に生息している植物でなく、身の回りにある、手に入れやすい旬の野菜やフルーツの持っている力「植物たちが外敵から自分たちを守るために生まれつき持っているリカバリー力」を、日々の食生活に取り入れて、病気の予防ができる身体を作れるかもしれない価値ある植物の力です。それは、損なわれやすい健康を上手にコントロールしつつ、「医食同源」を実行してみるチャンスかもしれません。

ファイトケミカル(phytochemical)の種類

野菜やフルーツには、健康を維持したり健康に良い影響を与える数多くのファイトケミカルが含まれています。ガン抑制効果に始まり、老化・動脈硬化なども予防すると考えられています。それらの食品因子を4つに大別、分類しました。摂取量・摂取の仕方や状態などを考慮して日々の食生活に上手に取り込んで下さい。

1.ポリフェノール類(polyphenols)-フラボノイド類(flavonoids)を含む-
植物が紫外線によるダメージ・害虫・病原菌から身を守るために作る成分です。一般的には紫外線が良く当たる植物の外皮部分に多く(タマネギは例外)含まれます。そのため、植物の栽培条件・収穫時期・その年の気候に左右され、大きく3つに別けることができます。抗酸化作用とタンパク質機能調整作用によりダイオキシンの毒性軽減やガン抑制作用効果が期待されています。

(1)フラボノイド類(flavonoids)
●アントシアニン類(anthocyanins)[赤キャベツ/黒豆の皮/イチゴ類/リンゴ類/イチジク等の赤や青などの色が濃い食物等]
●フラボン類(flavones)[緑黄色野菜/果物/茶類等]
●フラボノール類(flavonols)[緑黄色野菜/果物/茶類等]
●イソフラボン類(isoflavones)[ダイズ/クズ等]
●フラバノン類(flavanones)[柑橘類の果皮等]
●カテキン類(catechins)[茶類/赤ブドウ/ココアの実等]
●カルコン類(chalacones)[明日葉等]

(2)フェニルプロパノイド類(phenylpropanoids)[ゴボウ/ニンジン/大根等の根菜類]
●ドーパミン類(dopamines)[バナナ]
●カフェ酸類(caffeic acids)[ゴボウなどの根菜類/コーヒー豆等]
●レスベラトール類(resveratrols)[ブドウの皮と種子等]
●リグナン類(lignans)[亜麻の種・ゴマ等]

(3)アントラキノン類(anthraquinones)[大黄などの中国薬草に多く含まれている]

2.カロテノイド類(carotenoids)
カロテノイドは自然界に600種類以上あると言われていて、黄色〜赤色もしくは紫色の色素類の総称。植物には合成能力がありますが、動物にはその能力がありません。酸化ストレスの抑制・免疫賦活作用・ガン細胞増殖抑制作用・抗酸化作用などの効果に注目が集まっています。

●α-カロテン(α-carotene)[ニンジン/よもぎ/モロヘイヤ(葉)/シソの葉/バジル/小松菜/セリ/つるむらさき/イタリアンパセリ等]
●β-カロテン(β-carotene)[モロヘイヤ(葉)/よもぎ/シソの葉/バジル/小松菜/ニンジン/ルッコラ/セリ/イタリアンパセリ等]
●β-クリプトキサンチン(β-cryptoxanthin)[トマピー/ミカン缶詰/キンカン/パパイア/ピーマン(赤)/モロヘイヤ(葉)/オレンジジュース/ つるむらさき/バジル等]
●カプサンチン(capsanthin)[トマピー/ピーマン(赤)等]
●ルテイン(lutein)[モロヘイヤ(葉)/よもぎ/シソの葉/バジル/ルッコラ/セリ/小松菜等]
●リコペン(lycopene)[金時ニンジン/ミニトマト/グレープフルーツジュース等]
●ゼアキサンチン(zeaxanthin)[トマピー/ピーマン(赤・黄)/キンカン/ヨモギ/バジル/ミカン缶詰/ルッコラ等]

●その他、「動物性カロテノイド」と呼ばれている、アスタキサンチン(astaxanthin)[エビ/カニ/サケ/マス等]

3.含硫化合物類(sulfur-containing compounds)
民間薬として昔から親しんできた食品で抗菌作用や抗腫瘍活性効果があるとされているネギ属の野菜(多くは加熱加工などにより二次的に生成される)や発ガン抑制効果機能として注目されているアブラナ科の植物に多く含まれています。

ネギ属野菜
●チオールスルフィネート類(アリシン)[ニンニク/タマネギ等]
●ポリスルフィド類(ジアリルジスルフィド・ジアリルトリスルフィド・MATS-メチルアリルトリスルフィド-など)[ニンニク等]
●スルフィニルジスフィド類(アホエン他)[ニンニク/タマネギ/ネギ等]

アブラナ科属野菜
●ワサビスルフィニル[ワサビ]
●スルフォラファン(sulforaphane)[ブロッコリースプラウト/キャベツ/ケール等]
●イソチオシアネート(isothiocyanate)[ワサビ/カイワレ大根/チンゲンツァイ/カリフラワー/小松菜/ブロッコリー/アルファルファモヤシ/キャベツ等]


●その他、きのこ類・果実類(パパイア・ドリアンなど)にも含まれています。又、本来生体成分として発見されたα-リポ酸なども含硫化合物の機能性があるとされています。

4.テルペン[テルペノイド]類(terpenes)
ハーブ類に多く含まれており、テルペンを含む植物は、精油として香料・香辛料・民間薬として昔から世界中で活躍してきました。今、発ガン予防効果やアポトーシスの誘導作用効果が期待させています

(1)モノテルペン(monoterpene)
●カンファー(camphor)[クスノキ]
●メントール(menthol)[セイヨウハッカ・シソ科ハッカ]
●リモネン(limonene)[ウンシュウミカン・ナツミカン・ダイダイ]
●ペリリルアルコール(perillyl alchol)[アメリカンチェリー・ミント・セージ]
●ペオニフロリン(paeoniflorin)[生薬シャクヤク等]

(2)セキステルペン(sesquiterpene)
●パルテノライド(parthenolide)[薬草ナツシロギク]
●コステノライド(costunolide)[木香]
●ar-ターメロン(ar-turmerone)[秋ウコン]

(3)ジテルペン(diterpene)
●フォルスコン(forskolin)[コレウス]
●ギンコライド(ginkgolide)[イチョウ]
●ガラナール(galanal)[ミョウガ]

(4)トリテルペン(triterpene)
●ルペオール(lupeol)[オリーブ・マンゴ・イチジク]

(5)ポリテルペン(polyterpene)
●[ブナシメジ]

一気に食生活の全てを変えるのではなく、現在の状況を徐々に変えていくことが途中で挫折しないコツです。季節の変化を食物の香りで感じたり、旬のエネルギーに満ちた食材の色を目で確かめたり、食物にはいろいろな楽しみがあります。その中でも「味を楽しむ」という機能は、ただ単に栄養価のみをサプリメントで摂取する以前に忘れたくないとても大切な要素の一つです。「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、栄養のバランスを。」忘れないでください。
 





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