114.ハブ茶(エビス草・決明子・ハブ草)—「明目作用」有り—

ハブ草の種子ではない「ハブ草」

マメ科のエビス草。エビスはつまり夷、外国の草、という意味で、アメリカ大陸原産で、熱帯アジアへ伝わり、日本へは江戸時代18世紀の前半に導入され、各地で栽培がされるようになりました。
南方系の薬草ですから、暖かい地方で栽培されますが、実際には各地で野生化してどこでも見られます。日本では一年草で成長すると一メートル以上の草丈となります。マメ科特有の丸っこい葉と、6~8月ころに咲く黄色のかわいい花が特徴。花後の果実はすこし屈曲した莢で、莢の中に一列、濃褐色の艶のある、先の尖った菱型の米粒大の種子(マメ)が30~35粒入っています。これを乾燥したものが漢方生薬の「決明子」で、煎ってお茶として使うときは「ハブ茶」です。

エビス草とよく似た同属の「ハブ草」はやはり南方から江戸時代に輸入され、小笠原や沖縄では野生化しています。
マムシなどの蛇に咬まれた時にこの葉を擦りつけると効果があるというので、「ハブ草」と名付けられましたが、せいぜい虫刺されくらにしか効果はないそうです。この種子が漢方薬の「望江南子」で、お茶としては本来の「ハブ茶」です。しかし栽培にはエビス草の方が向いており、収量も多いので、現在「ハブ茶」として市販されているものはエビス草の種子であり、ハブ草の種子ではありません。

漢方生薬としての「決明子」は二千年前の中国の医書に掲載されています。日本でも平安時代の『医心方』などに載っています。国産化したのは前期のように江戸時代ですが、ハブ茶として需要の多い今日ではほとんど中国からの輸入に頼っています。エビス草はマメ科のカワラケツメイ属ですが、同属の植物におなじみの「センナ」があります。ですからハブ茶にも軽い下剤の作用があるわけで、便秘気味の方には最適のお茶ですが、作用をマイルドにするためにハトムギと合せてお茶として用いるのがお勧めです。
「決明子」は目を明らかにする種子という意味で、漢方では「明目作用」があるといいます。動物性の生薬ではアワビの殻の明目作用が有名で「石決明」と呼ばれるのに対して、こちらは「草決明」です。目の充血や痛みなどに「菊花」などと組んで処方されます。他にコレステロールを下げたり血圧の降下作用も報告されています。

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