医食同源アラカルト

<牛蒡・ゴボウ・悪実・牛蒡子>
-繊維質が豊富な食べる薬-

●怪力無双の坂田金平
 薬草園に現在の小屋が建つ前、10年間にわらって借り住まいしていた旧家か
ら坂をおりてくると、右側のかなりきつい斜面がMさんのお宅の畑。70歳くらい
の仲のよいご夫婦がいつも手入れしていて、私どもは通りがけにいろんな立ち話
をしたものです。帰りに持っていきなと、畑の作物をよく道路わきに置いといて
くれました。畑作業が終わって軽トラックで上がっていくと、ちゃんと目印がし
てあって、大根やキャベツ、白菜など頂いたものです。宝物のようだな。そうい
えば、今薬草園にある苺のご先祖はこのMさんから頂いたものです。
柿
写真提供(株)ツムラ
 このMさんの得意技のひとつが牛蒡でし
た。長さ70cmくらいの太い、ゆたかな牛蒡
です。その収穫は斜面を利用したもので、長
芋の掘り方と同じ。さくっさくっと深く掘っ
ていくと、牛蒡の根全体が横から現れてきま
すから、あとはその溝に入って、手で外して
ゆくだけです。この牛蒡だけはあんまり見事
で、もらってはわるい、毎冬この季節正月用
に買ったものです。
 牛蒡は、食品としてキンピラが一番有名。
このキンピラは、金平と書き、江戸時代初期
につくられた浄瑠璃の主人公で、なんと坂田
金時の子供で、その名も怪力無双の坂田金
平。牛蒡を食べると精がつくから、金平牛蒡
と呼ばれたそうです。

●種子を処方
 ゴボウはキク科の越年草でユーラシア大陸に広く分布し、日本へは中国から薬
用として入ってきたといわれています。よく知られているように根を食べるのは
日本だけで、ヨーロッパでは葉をサラダにするそうです。根は、センイのよさが
見なおされている昨今では、もうこれ自体食べる薬みたいなものです。
 漢方薬としては、種子の牛蒡子(悪実)を使います。悪実(アクジツ)とはす
ごい名前ですが、トゲトゲのつぃた格好の悪い実からきたらしく、ちなみに牛蒡
の花言葉は「私にさわらないで」だそうです。この成熟種子を乾燥したものは解
熱、解毒などに作用があり、風邪くすりや皮膚科のくすりなど多くの漢方処方に
はいっています。
 なお、ヤマゴボウ(商陸)という生薬がありますが、これは、牛蒡とは別のも
のです。



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