医食同源アラカルト

屠蘇酒(おとそ)
-お正月には欠かせない縁起物-


●一人が飲めば一家が無病無疫
 お正月に因んで「おとそ」の話。ひとつの生薬でなくて、古典では「大黄、桂
心、白朮、桔梗、バッカツ、蜀椒、防風、烏頭」の八つの生薬をお酒につけたも
のです。もともと伝染病を防ぐ為のくすりですが、大黄と烏頭は強い薬ですか
ら、現在ではそれらをぬいた、桂心(シナモン)、白朮(オケラ)、桔梗(き
きょう)、バッカツ(ユリ根の一種)、蜀椒(サンショウ)、防風(ボウフウ)
など身体を温めて風邪にかからないような薬を用いています。甘味をます甘草や
陳皮(ちんぴ、みかんの皮)なども入れるとよいでしょう。現在ではそれぞれの
「おとそ」が工夫され年末に売られるようです。
blue.jpg  中国の唐の時代の「外台秘要」という総
合医学書には、それよりずっと以前より伝
わってきた正月の風習について以下のよう
に記しています。「屠蘇酒は、疫病から人
を守る。八種の生薬を刻んで紅い袋に入
れ、大晦日に井戸につけておく。これによって井戸水を清らかな聖なるものにす
る。正月早朝、日の出と共にそれを取り出して、今度は酒で煎じる。東方に向い
て一家で飲む。飲む順序は年齢の小さな子供から年長のものへ。量は自由。一人
が飲めば一家が無病無疫。一家全員が飲めばその家の一里四方が無病無疫。三日
たったら煎じカスを再び井戸へつける。そうすれば一年中無疫である云々」。こ
の記述はそれより約200年後に日本でまとめられた最初の総合医学書「医心方」
にも踏襲されていますが、もっと古くから正月の風習としては日本では同様のこ
とが行われていたといいます。紅い袋は「茜の絹を四角く縫ったもの」が正式。
●正月早々「屠」の字とは
 人類の医の長い歴史がつい最近まで(発展途上国では現在も)、疫病(伝染
病)との闘いであったことが更めてわかります。
屠蘇の字の由来はよく分かりません。屠殺の屠の字ですから正月早々縁起が悪
い。そういう植物(薬草)があるという説もありますがどういう意味でしょう
か。ご存じの方はご教示下さい。
 年齢の若い順に飲むというのは、年長の者が若さにあやかるという意味合いが
あるというのが普通の説ですが、薬というものは王(家長)が服用する前に家臣
(子供たち)が先ず毒味をするものだ、という習慣からきているというやや意地
悪い説もあります。
 それでは無病を祈って乾杯!



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