71.山椒(蜀椒)—強い香りの健胃剤—

お馴染みのつま

山椒は中国や日本の各地に自生したり、庭木としてもよく栽培されるおなじみの落葉低木。小さな葉は対をなして互生していますが、木の芽あえを田楽にのせたり、摘んでパチンと手掌でタタいてから、冷奴や刺身や焼き魚のつまに、又すまし汁の香り付に皆さん使うでしょう。

雌雄異株で雌には初秋になると赤い表面のザラついた細かい実がたくさんできます。自然に実がはじけた頃(裂果という)、葉のつけ根についているトゲにチクチク刺されながら採取します。薬草園にも山椒が植えてあり、チクチクと痛いけれども、他の根ものの薬草に較べれば楽な収穫作業を毎秋します。陰干ししておくと、ほとんど開裂がすすんで、自然に中の真っ黒な固い種子がとびでてきます。
黒褐色になった果肉の部分が漢方薬として使われます。これを粉状にしたものは、ウナギのかば焼きに欠かせないおなじみの粉山椒です。黒色の種子の方は普通は使いませんが、古書に「種子は黒光りして人の瞳のようだ。それで椒目という」と書かれているように、この種子は以前はお雛様などの人形の目に使われていたようです。

冷えたお腹を暖める

山椒は小粒でもピリリと辛い、の成分はサンショール、よい香りの精油成分とあいまって、薬としての作用は、芳香健胃剤で特に暖める作用がつよい。駆虫作用もあります。ですから、七味唐辛子や、お正月の屠蘇散の中にもよく入っています。漢方薬の中には虫下しとして烏梅丸という薬の中に入っていたり、冷やえきったお腹の痛みをなおす大建中物という有名な薬の中にも入っています。

山椒の幹やたい枝は、擂(すりこぎ)によく使われます。成長の遅い木ですから木質が堅いのと、それ自体にも香りがありますから最適です。「擂亭」という料理屋が鎌倉山にありますが、日本食の代名詞になっている摺り鉢、擂も今の世代ではだんだん使われなくなったのは寂しいことです。「あえもの」を家庭で復活させよう!!
中国では、四川省(昔蜀の国)産が有名なので漢方薬としては蜀椒といいます。香辛料としては、花椒といわれて、中華料理、特に四川料理には欠かせません。四川省に4~5日滞在したとき、何を食べても山椒の香りが強烈すぎでまいったことがありました。

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