70.サンザシ(山査子・野山査・南山査・北山査)—山査子といえば消化剤—

中華料理のデザートにも

サンザシは、中国原産とされ、梅や桜や桃や杏などと同じくバラ科の落葉樹。小枝が多くこれが変化したトゲと卵型の荒いギザギザの葉が特徴。サンザの木になる実だからサンザ子だが、山査だけでも普通サンザシと呼びます。
江戸時代中期、八代将軍吉宗の時代は大陸や半島から、新しい薬材をさかんに輸入し、国内でも医療に活かせる山野草の発見が奨励され、それら植物の分類や使用方法などを研究する本草学が日本独自にも発展した時代とされますが、サンザシもこの頃、薬用として大陸から導入されたといわれます。日本には栽培種しかなく、落葉(低木)のサンザシは春には白い五辨の可憐な花がいいし、秋には赤い小さな実が美しいので庭木や盆栽にされています。

中国ではこれを野山査、南山査といいこの果実が薬用になります。冬の中国の街角では赤い実のサンザシを串にさして売ってますが、これは食用になる大きい実のサンザシで、オオミサンザシ、北山査といわれ、こちらは落葉(高木)の実。魚を煮るときサンザシをいれれば殺菌になるし骨まで柔らかくなる、消化をたすけるから甘酸っぱいジュース(二日酔いにきく。サンザシジュースは日本でも流行の兆しあり)や砂糖漬けとして中華料理のデザートにでます。

果実の成分はいろいろ分析されてますが、血管拡張、強心作用などが知られ、これらはヨーロッパでセイヨウサンザシが強心薬として使われている根拠です。成分のひとつクラテゴール酸には胃液分泌を促進する作用が知られていますが、これは漢方で山査子といえば消化剤といわれる根拠です。

実際には秋、完熟直前の果実を収穫し、種ごと潰して干燥したものを煎じて服用します。炒って使用する山査を炒山査といい、ほかの強力な消化剤、焦麦芽、焦神麹とあわせて「焦三仙」と呼ばれ、さらに焦梹榔をあわせると「焦四仙」といい、漢方薬に配合される強力な消化剤ユニットになっています。不老長寿の仙人の仙がつくほどよく効くというわけです。とくに肉や脂っこいものの消化をたすけますから、中華料理のあとにはいいわけです。また黒焼きにしたものを山査炭といい、これは下利や出血を止める作用があります。

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