11.イカ(甲烏賊・烏賊骨・ウゾッコツ)—「収斂作用」「固澁作用」が特徴—

コウイカの骨を生薬に

皆さんの好物のイカ。イカとタコの違いから。同じ海に住む軟体動物の頭足類で、墨を吐いたり共通点が多いですが、イカは十腕形類、タコは八腕形類といいます。ふつう「足」と言いますが、腕なんですねー。はやい話、二本だけ足の数が多い。この二本は実は餌を捕獲するための特別な触腕といい、他の八本に比べて長く発達しています。こんど確認してください。

もう一つの違いは吸盤に角質環がはまっていること。イカの足の刺身はあまり食べない理由です。口にあたります。「げそ」と称してよく足を食べますが、ひと焙りしてありますね。一方、タコの吸盤にはこの角質環が無いから、刺身といえばこの吸盤のついた足をそのまま食べて口に障りません。

もうひとつ最大の違い。それは骨の有無。ふだん刺身で食べる筒状、袋状の胴体の肉質を包んでいる外套膜の背側に、イカには骨というか、甲がある。タコにはまったくありません。 このイカの骨には二種類あります。日常馴染み深いのは、ヤリイカやスルメイカなど筒型のツツイカ類の骨。これは刺身を作るとき外套膜といっしょに外すからご存じのように、細長い薄い膠質の軟甲です。
もう一つは、高級な寿司などによく使われる肉厚のコウイカ類の骨。舟形、紡錘形の甲で、石灰質です。貝殻と同じです。

このコウイカ・甲烏賊の骨、これが生薬の「烏賊骨」です。音読みでウゾッコツと普通言いますが、別名「海衂蛸」カイヒョウショウとも言います。この甲殻を焙って砕き粉末にしたものを用います。主成分は炭酸カルシウムや燐酸カルシウムで、制酸作用がありますから胃薬に用いますが、漢方的には「収斂作用」「固澁作用」が特徴です。だらだらと出血したり、膿みがとまらなかったり、下痢がとまらない等を、「収め固める」というわけです。湿布薬にもよく用いられ、アワビの貝殻「石決明」やその他の鉱物薬を調合して、じくじくといつまでも治らない皮膚病に使われます。

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