医食同源アラカルト

よもぎ
-婦人用の妙薬-

●精油成分多く「気つけ薬」にも
 「灸にする餅にする蓬摘みにけり」(子規)というように、早春の柔らかい葉
はよもぎ餅(草餅)のします。葉をよく乾燥してからもんで葉の裏の白い繊毛を
集めたのが灸の材料のモグサ。
 各地に野生しているお馴染みのキク科の雑草(!)です。根茎がしっかりして横
走して増えるので畑仕事から考えるとやっかいな雑草なのです。
よもぎ
写真提供(株)ツムラ
 西洋でも古くから知られ利用されていた雑草
で、学名のArtemisiaは、ギリシャの女神
Aritemisに由来するといわれます。「女神」
というのがミソで婦人科の大切な薬です。靴の
中に敷いておくと一日中歩いても疲れ知らず、
という利用法も。時代は下がって、シェイクス
ピアの「真夏の夜の夢」の中で魔法ときのくす
りに「よもぎ」が登場しますが、これは西洋で
はMidsummer Dayによもぎを収穫する習慣が
あったから。
 中央アジアでは燃料として使うといいます。
お灸のモグサもよく燃えるので、よもぎの「善燃草」の字をあてたりします。精
油成分が多いということです。この成分が芳香を放つので、先のシェイクスピア
の「気つけぐすり」にもなるし、端午の節句には菖蒲とともに浴剤にしたり、そ
の由来譚が昔話の「蛇聟入り」や「食わず女房 」で語られているように、軒先に
ぶら下げて厄除けに使われたのです。
●体を暖める作用
 漢方薬としては艾葉(がいよう)といい婦人科ではもっとも多く使われる薬の
ひとつです。体を暖めて下腹部の痛みや出血過多などをなおすので、住環境の悪
かった昔の女性も、そして冷房のききすぎる現代の女性にも。外用薬としては、
畑仕事に切り傷や虫刺されは避けられないのですから、春〜夏にかけては傷がつ
くと大急ぎでよもぎの葉をむしってそのままこすりつけます。青汁が出て少しし
みるようであれば一丁上がり。翌日には、アブ刺されなど相当つよい炎症もきれ
いにあとを残しません。一口に虫の酸を植物のアルカリで中和するといいます
が、やはりよもぎはよく効き、他の雑草の葉にはかえがたいものがあります。
 食品としては草餅や草だんごの他に、よもぎ茶、よもぎ煎茶などもあるようで
す。



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