| ●薬グルメの人たち |
| 何故こんなにおびただしい種類の薬が使われているのか? 第一は、厚生省が薬として公認する |
| 基準が甘いということ。第二の理由は、やはり需要があるからでしょう。必要があるから開発され |
| るわけだし、開発すれば売れるから(医師が患者に渡すから、患者は何でも薬をもらいたがるか |
| ら)、メーカーは「次の売れ筋は、次の売れ筋は……」と消費者の病気動向をにらみながら開発す |
| るわけです。消費者(患者さん)には、本当にそれらの薬が役立っているのでしょうか。 |
| 思い出すのは、食品です。当院の食事指導をしている幕内先生は、玄米を中心に食べればおかず |
| はそんなに多種類必要でないという立場です。身体に必要な栄養素を大方揃えた米・玄米のような |
| 「主食」があれば、文字通り他は副菜でいいという考え方です。それに対して、現代栄養学では一 |
| 日に30〜50種類を食べなくてはいけないといわれます。実際、日本で日常的に食べられている食 |
| 品は、数え方にもよりましょうが数百種類でしょう。そんなに必要かな? 昔みたいに一汁一菜に |
| 戻るか? その方がいいのなら・・・。 |
| はてさて。ところで薬は食品ですか?(医食同源とは言いながら)食品が多様になる。あれも食 |
| べたい。これも食べてみたい。あれは美味そうだ。これは一つの文化であり、人間として生活水準 |
| が上がれば、衣食足れば、グルメ志向になるのは、ある意味で当然でしょう。地球の裏側までマグ |
| ロのトロを捕りに行ったり、「いけす」と称するものを東京の店の真ん中において、そこで泳がせ |
| ている魚を「新鮮な生きづくり」として食べさせるようなグルメブームは、馬鹿馬鹿しいと一笑に |
| ふすだけの見識は欲しいと思いますが、こんな「バブルを食べる」ようなことでも、やがて文化と |
| して定着すれば、世界に冠たる日本料理の多様さと称されるようになるのだと肯定的な評価もあり |
| ましょう。 |
| 動物虐待で話題になっているフランス料理のフォアグラだって、中国料理だって、ずいぶん |
| 「バブル」を食べているじゃないかと・・・。 |
| そうです。皆さんは薬グルメなのですよ。あれも飲みたい。これも服用してみたい。あれは効き |
| そうだ。あれはよさそうだと言われるから是非試してみよう。おいしそうな薬だ! 「薬喰い」と |
| いうコトバがあるほど、日本人は薬好きといわれます。「民族の伝統・知恵で、文化のひとつだ」 |
| と言ってニコニコしていてよいでしょうか? |
| 考えなくてはいけないのは、「薬喰い」の時代の薬は、生姜やニンニク、卵酒や当時は稀な牛肉 |
| であったり、せいぜい民間薬や漢方薬など、自然に生えているものでした。今は違うのですよ。合 |
| 成医薬品です。薬=ヤクですよ。決して身体が自然に欲するようなものじゃないのですよ。得られ |
| るメリットが余程大きくない限り、副作用よりも圧倒的にメリットが大きいと判断された時のみ、 |
| 限定して服用すべきものばかりです。 |
| Aさんの手の小指が腫れました。「先生、薬ください」「炎症を止める薬を出しましょう」一週間後 |
| 「先生、今度は薬指が腫れました」先週と同じ薬を出すとAさんは納得しません。 |
| 「先生、この薬は小指の薬では?今日腫れたのは薬指ですよ。別の薬ください!」 クスリ指だから別の |
| クスリだとシャレで喜んでいる場合じゃありません。さすがにAさんはおかしいと皆さん思いますか? |