一病息災。病気との上手なつきあい方。


28. 算術医の書く通信簿がまだ必要ですか?

「先生、私やっぱりダメです。」と人間ドッグや検診の成績表を私に見せる患者さんは、学期末に
「あまりよくない成績表」を両親に見せてウナダレテいる子供にそっくりです。
どれどれ、と見ると私から見れば、何もそんなに深刻ではないことばかり。もし深刻な
検査結果が出てるとすると、それまで私は見過ごしていたのかと逆に問題になります。
そんなことはまず 100 %ありません。項目がひとつ(或いは2つ3つ)「正常値」から外れてるから
私の通信簿はダメなのです。あれだけダイエットしたり運動したりしたのに。
私の身体には欠陥があり、私の人生は落第なのです。ぐしゅん。
まず第一に、大人になってもまだ通信簿に数字や評価をつけてもらって喜 んだり悲しんだりしている
自分を滑稽だと思いませんか?
子供達の学校の 成績表が、子供の全体的な発育・生活からみれば、そのほんの一部のことし か評
価していないのと同じく(成績表でその子のすべてが評価されていると 思ってないでしょうね!)、
貴方の検診の通信簿も、身体の健康状態や生活 のほんの一部(一説には約3%)を評価
しているにすぎません。ましてや、 「正常値」の範囲を一歩越えるともうダメで一歩内へ入るともう安心、
なんていうことは数字は連続しているのですから、ちょっと考えてみただけでもおかしいでしょ。
その「正常値」の決め方の根拠がまたでたらめなことは何回も書きました。だいたい人生60
年も今までやってきた貴方が、項目いくつかの「異常」で 明日から生活をかえるなんておかしい
ですよ。60年も堂々と生きてきた実 績に比べると、薬だの運動だのダイエットなどが貴方の身
体にこれから及ぼ す影響など比較するのも恥ずかしいくらい小さなものです。
検診の数字のデコボコを全部「正常値」の中へ入れることを「医者の使命」としている同業者
(これを金儲け医とは別の意味でもうひとつの算術医と呼 びましょう)が多い中で、私はほとん
どの患者さんの場合そんな健康管理はいやらしいおせっかいで、皆さんをかえって病弱にしてし
まうという立場をとっている少数派です。
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