rue Cler の八百屋さん

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アーバン・シック

梅雨でうっとおしい6月は、パリのベストシーズン。カラフルなファッションが街を彩り、パリジェンヌはここぞとばかりにお洒落合戦を繰り広げる。

薄着になり、汗ばむ季節、気になるのは体臭だ。香水がフランスで発達した理由の1つは、体臭対策だったという。洗ってニオイを元から消す日本人と違い、フランス人はさらに強い匂いで臭さを隠そうとする。脇の下のデオドラント剤が普及したのも、わりと最近のこと。体臭はセクシーのシンボルと主張するフランス男性も、まだ健在しているようだ。

とはいっても、時代はクリーン・ブーム。知的でヘルシー、清潔感のあふれる人が、パリでも人気だ。
今、注目されているのは、アーバン・シックと呼ばれる新しい女性らしさ。ゴテゴテ飾りたてず、内面の美しさを強調しようというもの。ピュア、バランス感覚、ハーモニーを合い言葉とする女性たちが好む香りは、シンプルで完成度の高い柑橘系の爽やかな香り。グッチのアンビー、シャネルのアリュール、カルバン・クラインのエタニテーなどが、彼女たちのお気に入りだ。

フレッシュなスポーティ・タイプの香りも、初夏にふさわしい香り。自然体でいることが見直されているパリでは、透明感があり、みずみずしい香りを選ぶ若者が増えている。ダヴィドフのクール・ウォーター・ウーマン、ラルフ・ローレンのポロ・スポーツ・ウーマン、エスカダ・スポーツのスポーツ・スピリットなど、カジュアルなファッションにぴったり。

さて、この時期の特別な日には、セクシー過ぎないモダンで優雅な香りを選びたい。パリジェンヌのあこがれは、ジャクリーヌ・オナシス。上品で育ちの良さを感じさせる、優しい花束のような香りは、カルチエのソー・プリティ、エリザベス・アーデンのフィフス・アベニュー、ジヴァンシーのオルガンザ、ゲランのシャンゼリゼなど。

ニオイに敏感な日本人は、香りには鈍感。自分を演出するアクセサリーとして、香りを選ぶのが苦手のよう。今年の夏は、石鹸の香りから卒業して、パリジェンヌに負けないように、大人の香りに挑戦してみては?

(1997/6/15)
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