サンフランシスコでのピラテス

ピラテスは西洋的

ヨガという名前が一般に広く知られているのに対して、ピラテスは比較的耳に新しいが、市内にはヨガ教室だけでなくこのピラテス教室もたくさんある。
ヨガとピラテスは、どちらも体力と柔軟性をきずくための運動で、その違いはどうも哲学的なのだそうだ。ある人によれば、ヨガは東洋的でいかに感じるかという内面に、ピラテスは西洋的でどのように見えるかという外見に焦点を合わせたものであるとか。なんとなくわかったようでわからない。

ヨガはご存知のとおりメディテーションからきていて、動きとストレッチとで体のなかでエネルギーを自由に流動させることによって、体を柔軟にしエネルギッシュにするというもの。ピラテスは、ちょっとした機器を使うこともあるが、基本的にはマットの上で体中の筋肉を満遍なく動かすことによって、姿勢を矯正し、体を安定させる筋肉を調整する能力を養って、体の柔軟性と体力を高めるというもの。

心拍数をかなり上げるランニングマシーン運動やエアロビクス、機器を使ったハードな筋肉強化運動と違って、どちらも強制的な動きがなく体に与える影響が低い運動だ。
このピラテスの技法がもともと傷を負った兵士のリハビリテーションのために作り出されたというのも納得がいく。とにかく、どちらも無理の無い運動だから、年齢や性別を選ばないし、妊婦さんにも人気があるとか。取っ付きやすい運動と言えるかもしれない。

そのうえ、ヨガやピラテスは、心(感情)を落ち着かせ、体とうまく調和させてバランスをとるという、もう一つの重要な効果をもっているという。いろいろな運動方法によって体を鍛えることができるが、運動をしながら、身体の恩恵だけでなく、心を静めて安定させるという精神の面倒までみてくれる運動は少ない。

仕事のイライラや、職場環境、子育て、対人関係、近所の付き合いなど、様々な要因に囲まれて生きている私たち。
すべてが有害な要因というわけではないが、好意的なものだけでないことは確か。そんなストレスの溢れる今日、ときどき息を抜いて、静かな音楽でも流しながら、自然な体の動きだけに没頭し、心のなかに溜まった不純物をきれいさっぱりと吐き出してみたいと思うのは自然なことなのかもしれない。そんなことが、ヨガにしてもピラテスにしても、その教室の需要を増やす理由になっているのかもしれない。

教室に通うこともできるし、本やインターネットで仕入れたヨガやピラテスの運動を自分で実践してみるのも難しくはないだろう。場所を選ばないし、特別な機器も必要としないから、どちらも自宅で気軽にできる。

これから寒くなって家に閉じこもりがちになるが、こんなストレッチを時間をかけてやれば、じんわりと体も心も温まってきそうだ。

(2005/11)
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