サンフランシスコのレジ袋

Paper? or Plastic?

「ペーパーにしますか。それとも、ナイロンにしますか」スーパーマーケットのレジで必ず聞かれるお決まり文句。肉を買おうと、ミルクを買おうと、トイレットペーパーを買おうと、レジで決まってこう聞かれる。
いつも自分で選択する習慣のあるアメリカでは、購入したものを入れるバッグにまでも、勝手に他者がきめるのではなく選択をする余地が与えられる。

3月末、サンフランシスコの市議会は、スーパーでのナイロン袋の使用を禁止する決議をした。石油から作られた従来のナイロン袋はリサイクルし難く、ごみ埋立地に埋められても腐らないから埋立地を占拠してしまうし、不法に捨てられたナイロン袋は下水路への溝やパイプに詰まったりする。便利だけれど、不要となったあとではうまく始末ができないのが現状。だから、市としては、ペーパー製のバッグか、あるいは、石油からできたバッグの替わりに、生物分解され腐って土にかえるエコバッグの使用を義務づけることにしたというわけだ。

このエコバッグ、見た目は石油製のナイロン袋に似ている。でも、市が許可を出しているというコーンスターチからできたバッグなどの強度は、石油製のナイロン袋に太刀打ちできないとか。さてさて、実用度と地球にやさしいその効果とがうまくバランスよくとれていくだろうか。

以前から、使用したナイロン袋をスーパーに持っていって再利用したり、環境保護を呈するスーパーやショップなどで売られているカンバス地のバッグをショッピングの度に持ち運んだりと、すでに積極的に環境保護に参加している人たちも少なくないが、この条例はそんな人たちの強力なバックアップになることだろう。

さしあたり、大手チェーンのスーパーマーケットがこの6ヶ月以内に、薬局がこの一年以内にこの条例に従うようにと猶予が与えられている。その他の小さな個人運営のマーケットやショップは、この条例に従ってもいいし、しなくてもいい。大手チェーンで使用されるナイロン袋の割合は大きいから、まずはそこから始めようかという市の意向なのだろう。

こんな条例を定めたサンフランシスコは、またまた、アメリカのなかで初めての都市となる。何でも先がけが大好きな自由奔放な街であることに間違いない。"Paper? or Plastic?"この半年から一年以内に、Plasticを選んだ人たちが手にするバッグはエコバッグにとって替わることになる。こんな取り組みが与える市民への環境保護教育は大きいことだろう。この取り組みが地球に与える影響が、それにも増して大きいことを願う。

(2007/04)
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