サンフランシスコのプレシディオパークの1,000段の階段

Immigrant Point/Coastal Connector Trail

プレシディオパークに一新して眺めのよい小道ができあがった。
小道には1,000段の階段が含まれている。Immigrant Point/Coastal Connector Trailと呼ばれ、パーク内にある24マイル(38Km)のハイキングコースや19マイル(30Km)のサイクリングコースの一部になっている。

もともとあったのは足元の悪い小道で、海に面する急勾配になった下り坂ではハイカーが足を滑らせて事故につながることもあった。しかもはっきりとした道がなかっただけに、ハイカーがあちこちを歩き回って生息している植物を踏み歩いたり、歩き回ったあとがいたるところにできあがって景観をそこねる原因にもなっていた。
一年をとおして住民や観光客らがたくさん訪れるパークだけに、自然を保護するのと同時に訪れる人たちに自然を身近に感じてもらうために、きちんとした小道に作り変えることになったようだ。そして今月、小道が完成してオープンした。

雨が上がって晴れ間ののぞくなか急勾配な小道を歩いてみた。階段は木で組まれていてあたりの風景にうまく溶け込むようになっている。イミグラントポイント(Immigrant Point)から下って階段をひとつひとつ下りる。

ジグザグとして長く続く階段をどんどん下りて進んでいくとユーカリの木々からただようほのかな香りがはずませる息とともに胸の奥深く滲みてくる。木々をの合間をぬけてリンコンボーレヴァードに到達すると目の前に青い海がひろがる。
その通りを渡って海側のパークにはいると木々はなくなり背の低い茂みが足元にひろがっている。白、ピンク、紫色をした小さな花や新しく顔を出した緑色の若葉が茂みのなかに散らばって、春の到来を告げている。

陽に照らされてオレンジ色に輝くゴールデンゲートブリッジが右手に高くそびえ、正面足元には白い泡を立てて波が打ち寄せる青い海がひろがっている。急な坂にある階段をどんどん下りていく。海岸線に平行して岩場の合間に小さな橋が架かっている。
話によればロマンティックなスポットで、目の前にひろがる美しい海を前にして、プロポーズをする人たちがいるとか。バレンタインデイということもあって、ひょっとしたらそんなカップルに会えるかもしれないと期待をしてしまったけれど、それらしきカップルには残念ながら遭遇しなかった。

プレシディオパークにできあがったこの小道。勾配が激しいけれどすばらしい景色と自然の香りに包まれて体にとてもよい刺激を与えてくれる。思い出の場所として胸に焼きつければ心の栄養にもなりそうだ。

この小道沿いでプロポーズをしたりするカップルが本当にいるのかもしれない。
そして、何組ものカップルがその言葉と目の前にあるシーンとを、その先永いあいだ胸におさめてキラメク思い出としてを抱えていくのだろう。

(2009/02)
sponsors
sponsors