12.胃炎・潰瘍があるといわれた

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くりかえし検査をするのはやめましょう

最近では医療用X線の害が注目されはじめましたが、胃・腸の検査(あのバリウムを飲んで体位を変えながらバチバチ撮るやつですが)も、一昔前ほどではないにしても、無益に過剰に行われていることは否めません。

定期検診や人間ドックで、潰瘍(カイヨウ)または潰瘍の痕跡あり要再検査といわれる場合。自覚症状(腹痛)があって検査して潰瘍があるといわれた場合。いずれの場合も全く心配いりません。潰瘍というのは、胃や十二指腸の粘膜に小さい傷がつくことで、私たちの日常体験できるものでいうと、口内炎と同じです。口腔の粘膜が少しへこんで底が白くなっていることがよくありますね。物を食べると痛い。

あれと同じです。口内炎なら自分の目に見えるからそう心配しないし、大層な検査をすることもなく、痛いなあと思いながらも我慢しているうちに、いつの間にか消えるでしょう。
ですから胃潰瘍や十二指腸潰瘍が特にこわい病気でも何でもないのです。
ほっとけばよろしい。そのうちなおります。

なおったあと胃の粘膜が少しちぢれるので、それを潰瘍のあとがある(はん痕)などといいますが、これは、カイヨウがいつの間にか修復されてしまう証拠なので、喜ばしいことであっても、ガッカリするようなことじゃありません。

胃炎となると、そもそもそういう病気があるのかないのかと医学界でいわれるくらいですから、これも口の粘膜がザラザラに荒れてしまうことがあるのと同じで、何も病気として取り上げるようなものじゃありません。

胃の定期検診は、胃癌を見つけることが主な目標ですから、胃炎や胃潰瘍といわれたときは、「よかった」と胸をなでおろしてください。
上腹部が痛くてなかなかなおらず、胃の検査をした患者さんも、ああよかった、癌じゃなかった、と喜んでください。

症状があって検査を受ける場合は、検査した側は、「何でもないよ」とはなかなか言わないものなのです。これは病名をつけなければ検査をできない医療保障制度上の制約があることがひとつ。
もうひとつは、「何でもないよ」と言われると、患者さんが納得しないという現場の事情から、医師はついつい胃潰瘍だとか胃炎だとか言うものなのです。

くりかえしますが、胃炎とか胃潰瘍とかその痕跡だとかいわれた場合は、「何でもない」と同義だということを忘れずに。「何でもなく」ても症状があることはいくらでもあるので、それを症状をとるやり方がいろいろありますから、ゆっくり治療に専念すればよろしい。検査は一年に一回で充分です。あちこちの病院でくりかえし検査をするのはやめましょう。放射線の障害の方がよほど心配です。

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