サンフランシスコの漢方薬局

チーズクロスとは?

中国を除いて、世界のなかで中国人人口が一番多い都市がサンフランシスコだと言う。国勢調査によれば市人口の約2割15万人以上が中国人という割合になっている。こんなサンフランシスコだから、中国文化もかなり浸透している。

Chinese Medicine(漢方医学)もそのひとつ。一般的に、西洋医学に比べて望まない副作用が少なく安全と言われている漢方。その専門家が処方する漢方薬は、吐き気、不眠、頭痛といった症状を短時間のうちに軽減したり、あるいは全く取り去ったりするほどの効果をもっているとか。
これらの症状に限らず、とくに慢性の症状や病気をもっていて、副作用の強い西洋医学で処方された薬を服用し続けるには抵抗がある人たちにとって、こんな漢方薬は魅力的なようだ。また、医療薬の値段が高い米国では、漢方薬の方が安いという利点もある。

中国系のスーパーマーケットに行けば、高麗人参などのお茶や漢方と称するなにやら不思議なものは売っているので、自分の知識のみを利用して安くそんな商品を買って試してみることができる。でも、間違った理解や生半可な知識で漢方を使うのは危険かもしれない。だから、効果的な漢方を試したいなら、漢方薬専門の店に行って、それなりのアドバイスをもらいながら、個々の症状にあわせて自分用の処方をしてもらうほうが安全だろう。

乾燥してほとんどが黄土色をした繊維質の太い根がガラス瓶やケースに入って陳列されている漢方薬専門店。
店内には、そんな乾燥した根だけでなく、壁一面に何列にもなって上から下まで引出し箱が作ってあって、その中に様々な漢方薬がおさまっている。白や黒い粉状のもの、木皮や木の幹を削ったもの、なにかの花か実のようなものなどがすべて乾燥されて、それぞれの引き出しにしまい込んである。

症状や必要に応じて、そこから取り出して、適量を混ぜ合わせて調合するようだ。その材料をみただけでは、全く何の症状に効くのかよくわからないが、専門家が丁寧にひとつひとつの材料の重さを量って調合している姿をみると、緻密に計算された知識がそこにあるようだ。

日本人と違って、体にいいといっても、こちらの人たちは苦いものを我慢して飲んだり食べたりしない。だから、摂り方としてはスープや料理のなかにチーズクロス(ガーゼのような布)に包んだ漢方薬を入れて一緒に料理し煮込んで、食べる前にその包みを取り出すという方法を勧めているらしい。

とにかく、漢方医学は科学的な根拠がないだけに賛否両論があるけれど、その効果を受けてうまく付き合っている人たちがたくさんいる。自分の症状をしっかり聞いてくれる漢方の専門家を見つけることがポイントかもしれない。

(2007/06)
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