食習慣が違えど、死亡リスクのカギは、野菜と果物の摂取量の多さ!?

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アジア人も欧米人同様、果物と野菜の摂取量の多さは、全死亡リスクを下げる手助けになる。

食は、心身の健康に欠かせない基本であり、欧米人とアジア人の食文化の違いが、遺伝的にも違ってくるのでは?差異はないのだろうか?と疑問を持っていました。

アジア人と欧米人では、かなり食習慣に差があります。
実際、学生時代、アメリカに夏休みの間ホームステイ。体重は8kg増加しました。「エ~普通に食べていたのに」と、適正体重に戻すのに苦労した経験があります。
今から考えると、マクドナルドのハンバーガーでさえ、ひとまわり日本のより大きく、アイスクリームもボリューミーと、量の違いもあるように思います。

長寿国である日本においては、2人に1人が、がんにかかり、循環器疾患や肝疾患とも、上手くお付き合いをしながら年齢を重ねていかねばなりません。主に欧米人を対象に行われた、前向きコホート研究では、野菜や果物の摂取量が多い人達は、死亡のリスクが低下すると知られていました。
欧米人と食習慣・生活習慣・遺伝的な背景が異なる、アジア人に関しての野菜・果物と全死亡リスクは、今まで明らかにされていませんでした。

国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所 (JPHC:Japan Public Health Center) の主任研究者澤田典絵氏達のグループは、全国11の保健所などと共同で、多目的コホート研究を行ない、研究開始から、5年後:1995年 (コホートⅠ)・1998年 (コホートⅡ)に回答した食事調査票において、がん・循環器疾患・管疾患がみられなかった約9万5000人を対象に2018年まで追跡調査をした。
・ベースライン調査
コホートⅠ:1990年に岩手県二戸・秋田県横手・長野県佐久・沖縄県中部・東京都葛飾区在住の40~69歳の男女
コホートⅡ:1993年に新潟県長岡・茨城県水戸・大阪府吹田・高知県中央東・長崎県上五島・沖縄県宮古在住の40~69歳の男女

結果、「日本最大の多目的コホートにより、始めて日本人にとって、ビタミン・ミネラル・食物繊維・カロテノイド・ポリフェノールなどが豊富に含まれている野菜と果物の摂取量が多いグループの方が、全死亡リスクが低いことがわかった。欧米の先行研究と同様に」と述べている。

「一部で行われた、より詳しい食事記録から考えると、野菜は300g以上、果物は140g以上摂取することが望ましいと言える。今後、人種差において、野菜や果物の摂取量と全死亡リスクとの関係を考える必要がある」と、言い添えている。

国立がん研究センター「多目的コホート研究」(果物・野菜摂取と死亡リスクとの関連について)

食事バランスガイド(農林水産省・厚生労働省)では、目標量を、1日約350g以上の野菜と1日約200g以上の果物の摂取を推奨しています。

野菜は、小鉢5皿が目安となります。
トマトだと、桃太郎の中サイズ1個で約200g。キャベツは、中玉1/4で200g。
太めの皮付き大根7cmは、約400g→皮を厚めに剥くと、約300g→大根おろし(水切りナシ)は、約300gと同量ですが、絞ると約130gと激減。

寒くなると美味しいおでんの大根は、野菜量としては、優秀です。厚切り大根2個の摂取で野菜量をかなり上げることができます。
栄養のバランスは、食において大切な要素です。単品での摂取は、避けましょう。

                               

果物は、みかん:中2個、リンゴ:1個、梨:1個、キウイ:2個が、200gの目安となります。
気になる果糖です。100g中のカロリーは、かなり違います。グレープフルーツは、中1/2個(約38kcal)で、バナナ中1本(約86kcal)です。2倍以上違います。キウイ1個 (約56kcal)は中間の値です。
上手な組み合わせで、カロリーを低めにできそうです。

調理法を茹でる・蒸す・煮るなど、工夫すれば、生野菜より、無理なく多く摂取できます。
食事は見た目も大事。カラフルな素材でバランス良いお献立作りに励みたいですね。