鬱病のリスクが高まる夜遅くまでの明るい光

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好きな時に、好きな場所で、自分の世界に没頭しながら好きなだけ知りたいことを調べられるとても便利なガジェット-タブレット。軽量化して持ち運びも便利な上、容量も増えて通信スピードもアップ。チョイ撮りの写真でさえ、デジカメに劣らなくなりました。夜、ベットの中で、何気なく見始めたペットの写真やYou tube、時にはゲーム、深夜から始まるバーゲンサイトなどにはまってしまいあっという間に数時間が過ぎてしまっていること、ありませんか。その後は、眠りに入るのが難しくかえって頭は冴えてしまいます。「しまった!またやってしまった!」といつも次の日、目をショボショボさせて深く反省。

光に慢性暴露されるストレス

人は太陽とともに起きて、日が暮れると寝る生活を長く続けてきました。トーマス・エジソンが電球を発明して以来、夜は昼になり、働いたり、遊んだり、少しの時間でFacebookにネコや子供の写真を投稿することが出来るようになりました。

しかし、米国メリーランド州のジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の生物学者達によって新しい研究が導き出されました。

「この典型的な21世紀型の状況(人が日常的に夜遅くまで働いたり勉強する)は、彼らが鬱病や学習問題にさらされる恐れがある。それは、睡眠不足というだけではない。問題の原因は、もはや夜でも照明器具やコンピューター、iPadからでさえ明るい光にさらされているということかもしれない」

ジョンズ・ホプキンス大学Krieger School of Arts and Sciencesの生物学Samer Hattar教授は、
「基本的に、私たちが見つけた明るい光に慢性暴露(日常的にさらされる)すること-もしあなたが交代勤務従業員だとしたら、あなたが自宅のリビングルームや夜の仕事場で経験しているような光の種類でさえ-カラダの中では確実にストレスホルモンのレベルが上がっている。このことは、鬱を引き起こし認知機能の低下をもたらす」と述べています。
(Johns Hopkins University 14 November 2012)

この研究は、マウスを使い目の中にある光に反応する特殊な細胞である網膜神経節細胞(ipRGCs)が明るい光により、心理状態、記憶、学習能力に対してどのように脳中枢に働くのかを明らかにしたものです。

Hattar博士達のチームは、マウスも人と同じように反応するだろうと仮定し、マウスの睡眠サイクルを中断しました。そして、鬱のような行動を発症させ、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを上昇させていることを見つけました。

「マウスと人は実際多くの点でとても似ている。その一つが、マウスの目の中にある網膜神経節細胞(ipRGCs)が、人と同様の働きをする」「付け加えると、以前人に行った研究だが、実際に光の働きは人の脳の辺縁系を刺激する。そして、同じ回路がマウスにある」

「私は、夜、真っ暗闇の中にいなければならないと言っているのではない。しかし、より少ない照明器具に切り替え、強い光を放つ電球を抑えるように強く勧める」「基本的に、見る必要があるものだけに使いなさい。そうすれば、精神状態に影響を与える網膜神経節細胞(ipRGCs)を活性化するなんてことにはならないだろう」とも教授は述べています。(訳:tori3tori3)
(Johns Hopkins University 14 November 2012)

夜間は照明を少なく

科学者達には、昼間の時間が短くなる冬になると人は季節性情動障害(seasonal affective disorder:SAD)として知られている鬱病にかかりやすくなり、定期的に明るい光に当たる簡単な『光線療法(light therapy)』が有効であることはわかっていました。

私たちは当たり前のように、夜、ネオンサインやコンビニエンス、街頭などの明るい光に照らされています。かえって切れていたり、節電などで少し暗くなっていると不安さえ覚えてしまいます。しかし、いつも明るい光に照らされているのは精神状態や学習能力にも負の効果があるかもしれません。確かに夜型の私は、夜遅くまで起きていることは苦になりませんが、午前中ぼ~として使い物にならない時があります。やはり、日に当たるときにはたっぷりと、暗くなったらいつまでも起きていないでさっさと寝る!人類の長い間のリズムがとても大切です。

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