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栄養のバランスとは

われわれ人間にとって衣食住は欠かせませんが、その中でも食は生きるためのエネルギー供給源であると同時に健康な社会生活を営む上にも必要不可欠なものです。つまり、食生活は単におなかがすいたから食べればよいというものではなく、健康づくりにも役立つものでなければなりません。食物の内容やその取り方は直接健康に影響し、もし不適当であれば、いろいろな病気をもたらすことにもなりかねません。そこで、栄養士さんは、「栄養のバランス」とか、「バランスの良い食事」という具合にバランスという言葉を使います。さて、このバランスとは何でしょうか。

栄養のバランス(1)栄養素の出入のバランス

栄養学でいうバランスの意味は2通りあるといわれています。その一つは、栄養素の出入のバランス、つまり口から入る分と体外へ排泄される分との釣り合い(出納バランス)のことです。食事中の栄養素は、もちろん体の血や肉となって使われます。ところが、私たちの体の中では毎日新陳代謝が盛んに行われ、筋肉や脂肪の一部は分解され、これに食事から入ってきたタンパク質や脂質が加わって再び筋肉や脂肪に合成されるということを繰り返しているのです。つまり、分解と合成が同時に行われているわけですから、口から補給した栄養素の量は体から失われる量と釣り合っていなければいけません。しかも、栄養素は毎日食事から補給する必要があります。

タンパク質を例にみてみますと、食物中のタンパク質はまず消化器官で分解されてアミノ酸となり、小腸で吸収されて再び筋肉などのタンパク質に合成されます。この場合、もともと体内の筋肉から分解してできたアミノ酸と合わさって合成されます。したがって、タンパク質を余分にとっても、筋肉に蓄積されるのではなく、その分は分解されて主に尿素となって尿中に排泄されるのです。つまり、摂取した分と排泄された分は常に平衡状態を保っているわけです。

この状態は、あくまでも健康な成人の場合であって、成長期や病後の回復期などの場合は、当然平衡がプラス摂取の方へ傾いていなければなりません。逆に、マイナス摂取ではタンパク欠乏症になってしまいます。したがって、私たちは毎日ある一定量の(所要量)タンパク質をとらなければならないのです。

もう一つのバランスとは、栄養素相互のバランスのことです。栄養素は、それぞれ独自に体に作用するものではなく、互に影響し合いながら効率よく利用されるものなのです。いうなれば、栄養素のバランスが保たれなければ、せっかくとった栄養も無駄になってしまうのです。

栄養素の基本的バランスPFC比

そこで、今回は栄養素の基本的バランスともいえるPFC比について述べます。PFCとは、タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のそれぞれの英語の頭文字をとったものです。これら三大栄養素(三大熱量素ともいう)のエネルギーが1日にとる食事全体のエネルギーに占める割合(%)の比を、PFC比といいます。

タンパク質については、上述のとおり、摂取と排出の排泄の平衡状態を保っていなければなりません。したがって、多くとればとるほどよいというものではありません。タンパク質を余分にとっても吸収されず、腸内で腐敗発酵を起こして、有害物質の発生をもたらします。そこで、日本人の適正比率は12~18%とされています。ただし、タンパク質であれば何でもいいというわけでなく、その質が大切です。9種類の必須アミノ酸と称する体内で合成することができないアミノ酸をバランスよく含んだタンパク質でなければなりません。しかし、食物中のタンパク質のうち、動物性タンパク質が40~50%であれば、この点で問題ないとされています。

日本が最長寿国である理由

次に、脂質はエネルギー源としてたいへん効率のよい栄養素ですので、多過ぎても少な過ぎても問題となります。心疾患やガンなどの予防上、日本人の適正比率は20~30%とされています。炭水化物は、でん粉と砂糖が主な内容です。これら糖分のとり過ぎは肥満や糖尿病の原因になりますので、日本人の適正比率は55~65%とされています。

以上述べてきた日本人のPFC比を先進欧米諸国と比較し、併せて平均寿命や成人病による死亡率などを掲げると、次表のようになります。先進諸国では、動物性食品(タンパク質と脂質を含む)が多く、炭水化物(でんぷんと砂糖)が極端に少ない熱量構成比になっていることが問題です。これに対して、日本は適正値にほぼ近いことがわかります。このことからも、日本が世界の最長寿国である理由がおわかりいただけると思います。

各国の平均寿命、成人病死亡率、栄養摂取状況
  日本 イタリア アメリカ フランス イギリス
平均寿命
(歳)
年度 1995 1989 1992 1991 1993
男 76.36 73.49 72.3 72.91 73.6
女 82.84 80.02 79.1 81.13 78.9
心疾患死亡率 128.6 222.6 280.1 184.9 328.3
糖尿病死亡率 8.8 33.6 19.2 11.1 14.8
摂取熱量(Kcal)
( )内は年
2,627
(1994)
3,564
(1992)
3,732
(1992)
3,633
(1992)
3,317
(1992)
熱量
構成比
(%)
でんぷん質食品 45.5 34.0 24.8 25.9 27.6
動物性食品 23.3 25.4 32.9 40.0 32.4
砂糖類 7.9 8.1 17.0 10.3 13.1
植物油脂 11.9 17.6 12.6 11.1 13.6
厚生統計協会「国民衛生の動向」1996年版、「日本国勢図会」1996/97年版などより
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