| アロエと一口にいっても 300種もあるといわれています。いま日本でよく見 | |
| かけるアロエは、ユリ科のコダチアロエ。医院の駐車場の傍らのアロエは何も | |
| 世話しないのに何が気に入ったのか、プランターからはみ出し、雨水のわずか | |
| に通るコンクリートの溝のところにまで繁茂しています。数年前ここから葉を | |
| ちぎって畑の小屋のベランダの下、日当たりのよいところに刺しておいたもの | |
| も、冬期にビニールや防風ネットで防寒しさえすれば、花を咲かすし、どんど | |
| ん増えています。誠に手間のかからない生薬です。 | |
| ラテン語アロエ(Aloe)の語源は ヘブライ語の“苦い”というコトバ | |
| allal から。アロエニンなどの成分が知られています。原産はアフリカの地中 | |
| 海地方。古代ギリシャ本草にも「収斂作用があり、眠りを催させ、身体をしっ | |
| かりさせ、胃を洗浄する。黄疸を治す。皮膚病や痔によい。口中の一切の病気 | |
| によい」等々の記載があります。 | |
| 中国に入ったのは大分遅れて8〜9世紀頃。10世紀の古医書には蘆會(ロ | |
| エ)と音訳された漢字で登場します。興味深いのは中国の古書の図にはアロエ | |
| は木として描かれていることで、ちょっと想像しにくいことですが、20メート | |
| ルにも達する巨木のアロエもあるそうです。 | |
| 日本に入ったのは鎌倉時代といわれてますが、民間でよく知られるように | |
| なったのは、大正時代に花の鑑賞用として広まってからです。先程書いたよう | |
| に栽培が容易なのでコダチアロエが普及したのですが、中国で薬として使われ | |
| ていた蘆會と同じような薬効のあることが知られて、こんどは鑑賞用としてよ | |
| り民間薬として広まりました。 | |
| トゲトゲのある肉厚の葉と、房状朱紅色の花は御存知の通り。 | |
| 肉厚の中身はゼリー状。これをそのまま虫刺されや切り傷につければ、まこ | |
| とに神効の如くで、畑にはなくてはならぬ常備薬です。夏の朝と夕方、畑には | |
| ブヨなどが飛びまわります。チクッとやられたらすぐにベランダ下まで走って | |
| 葉をちぎり皮をむくようにしてゼリー状の部分をすりつけます。これでたいが | |
| いは一晩で跡形もなくきれいになおります。 | |
| 漢方薬としては、ゼリー状を乾燥して粉末にしたものを用います。下剤とし | |
| て、婦人科のくすりとして。最近の自然食レストランではゼリー状のものを | |
| オードブルの一品として出すことがあり、私も一度食べたことがあります。 |