医食同源アラカルト

<牡蛎(ぼれい)・蠣(蛎)・牡蛎肉>
-制酸作用、安神作用があり現代人には有効-

●夏ガキのおいしさ
 この時期になぜ蛎と思われるかもしれませんが、10年ぐらい前のお盆休みあ
け、これ鳥取の実家から持ってきた夏ガキです、と患者さんから頂戴して以来、
私は冬のカキのみならず夏ガキも大ファンになってしまったのです。大きなアワ
ビ大で、岩のよう塊のような荒々しい大きな貝を、金槌で打ちつけ、そこら中殻
だらけにして、ようやく裂け目を見つけて、といった案配で1つあけるのに10
分以上かかってしまいました。中身は、冬蛎と違って肉厚で、実がつまってお
り、風味は冬蛎に劣るかもしれないがちょうど高級チーズケーキといった食感。
豊かな食感です。以来夏になるのを楽しみにして 牡蛎
ましたが、今はグルメブーム、もう海岸のどの民
宿にいっても出てくるようになりました。この夏
は銚子から送って頂きましたが、左手前をペンチ
で押し削ってゆくと裂け目が簡単に見つかり、ナ
イフを上の貝にそって差し入れるときれいに開き
ます。ものの2〜3分。今夏もそのまま酢で洗っ
て賞味しましたが来年からは軽くソテーしてみよ
うかななどと・・・。
●くすりとしては殻を使用
 ところで蛎は海のミルクといわれるくらい栄養価バツグンの食品で、洋の東西
をとわず食品として珍重され、早くから養殖も行われてきました。食品として
は、中身、即ち牡蛎肉です。大切な栄養素をほとんどすべて含んでおり、その上
消化がよいので、身体が弱った病人にはうってつけ。漢方的に言うと補陰作用、
補血作用がつよいといいます。そうして身体が立ち直ってくると病人はぐっすり
眠れるようになります。牡蛎肉を塩水につけて発酵させたものがオイスターソー
ス。私などは大の蛎好きですから、ちょっとした料理にボタッとこれを入れま
す。何でも一段美味しくなります。
 くすりとして主に使うのは身ではなくて殻の方。これを漢方的に牡蛎といいま
す。雌雄同体の貝殻をどうして牡蛎というのか、不思議です。塩分を十分洗い流
した蛎殻を高温で熱して、貝柱など付着物やよごれをきれいに燃やしてしまった
あと、粉砕機できれいな小さな粒にしたものが、生薬として用いる牡蛎です。貝
殻ですから主成分は当然カルシウム。鶏のエサに混ぜるのは御存知でしょう。人
がその煎じ液を服用すると制酸作用で胃腸がよくなる。また安神作用といって精
神安定作用がつよい。竜骨というもうひとつのカルシウムとあわせて、よく用い
ます。病気の種類を問わず、現代人にはとても有効な薬という印象を受けています。



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