医食同源アラカルト

桂枝(けいし)、肉桂(にっけい)、シナモン
-漢方の「衆方の祖」-

●ピラミッドのミイラの防虫剤としても
 桂枝(けいし)は、漢方用語で、一般には肉桂(ニッケイ)や最近ではシナモ
ンの方が通りがよい。樟脳でおなじみの芳香のある楠(クスノキ)科に属する
「桂」の樹皮や根皮をくすりや香料として使います。
 畑に「桂」の苗木を植えて10年、今では大人の背より大分高くなりました。葉
脈が独特の三行脈ですぐにわかります。
 ニッケイの原産地はインド南部、スリランカあたり
で、紀元前には、アラビア人の手でエジプトからヨー
ロッパへ伝わりましたが、アラビア人がシナモンの産
地をヨーロッパ人に知らせなかった為、13,14世紀に
なってそれを知った当時のポルトガル、スペイン、イ
ギリスの争奪戦になりました。お茶もそうでシナモン
ティーなどはその名残りでしょう。エジプトでは、
王様の死体をミイラ化するのに防虫剤としてニッケイが使われました。

●「気の巡り」を活発にする
 現在シナモンの生産の中心は中国南部からヴェトナムにかけての海よりの地域
です。
 以前、南方系の「桂」を日本の南部、高知や紀州などの暖地で栽培したことが
あります。皮をはいでかんでいると甘辛い香りが口に広がり、子供のおやつには
なったようですが実用品にはならず、結局現在でも南方から毎年2.000トンくら
い輸入しています。ほとんどは食品(香辛料)として使われ、漢方生薬として使
われるのは20%ほどです。ニッケ飴、八ツ橋などのお菓子や、カレーその他の煮
物に、各種ソースに大量に使われます。私の得意料理の豚の角煮にはこのシナモ
ンとこれもやはり代表的な漢方薬である甘草がスパイスとして欠かせません。
 くすりとしてのシナモンは桂皮とか桂枝とか書かれていますが現在では栽培し
た桂の枝の皮を細かくカットして使います。桂枝湯(けいしとう)という桂枝と
他の生薬を組み合わせた薬は漢方処方の原点である「傷寒論」という本の冒頭に
出てくる処方で、それが形を変えてあちこちに出てくるので「衆方の祖」といわ
れます。南方系の桂枝が最重要な薬として多用され、寒冷地でしか採れない甘草
(かんぞう)や麻黄(まおう)とミックスしていろいろな薬に早くから使われて
いるのをみると、古代の交通が想像以上に盛んだったと考えられます。桂枝**湯
とか桂枝**丸とか皆さんもよくお耳にすると思いますが、桂枝の働きは広範です
があえて一口で表現すれば、「気の巡り」を活発にするといえましょう。



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