31.カリン(木瓜・ボケ・クサボケカリン)—カリンは痰を除き、木瓜は湿を除く—

ボケとカリン

中国原産で古く平安時代頃より日本に渡来し、栽培は江戸時代になって盛んになったといわれます。もともと果実を薬用にする為に導入されたようですが、実際の栽培はもっぱら鑑賞用で、様々の園芸種ができています。雌雄同株で果実の結実が少ないのも理由でしょう。

花は春3~4月、桜などよりひとつひとつの花が大ぶりで庭木にされている方が多いようです。秋になると実が熟してくるので、その実を乾燥して砕いたものを生薬として用います。生薬名が木瓜です。

一方、日本原産で日当たりのよい山野に自生している小高木のボケはクサボケといい、果実は中国名を真似て和木瓜とか草木瓜といいます。これら木瓜類は、熟す前に収穫して、果実酒にして服用する方が普通です。同じバラ科で似た果実をつけるのが花梨(カリン)。やはり中国原産の落葉高木で日本でも各地に植えられています。花はひとつひとつ独立した感じで大きめ。果実も木瓜よりは大きめです。堅くて酸っぱくて生食はできませんが、果実酒や砂糖漬けにします。
長野諏訪でおみやげの名物、カリンの砂糖漬けは、よく似た同じバラ科のマルメロの果実だそうです。

中国名ではボケは、貼梗海棠といいますが、花の美しい庭木カイドウも同じ仲間です。台湾や中国の南方では、木瓜といえば、パパイヤのことを指します。これの生薬名は香木瓜。これはボケ類とは全く異なる果実です。
先述のカリンの中国の生薬名は、メイサで、ボケの木瓜とは別扱いにし、果実の表面がツルッとしているので光皮木瓜などといいます。ただ日本では従来、薬局方でカリンのことを木瓜と称してますので混乱しています。よく似ているので、果実酒にするときにはどちらでもかまわないのですが。

中国では漢方薬として扱うときは、メイサ(カリン)の方は呼吸器系、咳や痰をとるとき使います。日本のカリン酒も疲労回復の他に蜂蜜を加えたりして咳止めに用います。
本題のボケの木瓜の方は、中国では主として体の表面の浮腫(むくみ)や関節の腫れ痛み、リウマチなどに用います。身体のよけいな水分を除くということは共通ですが、カリンの方は痰を除く、木瓜の方は湿を除くというように使い分けているのです。

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