医食同源アラカルト

酒、(白酒・清酒・薬酒)
-百薬の長だが、過ぎれば毒-

●薬物療法とは切っても切れない縁
 お酒。漢方医学の2千年前の書物にも、お酒で煎じるとか、お酒で服用する
とかいう漢方薬の指示がたくさん出てきます。お米からつくった清酒、いわゆ
る日本酒とみていいようです。
海藻  医学の医の字は、矢の入った堅い箱、と
いう意味のようです。旧字体は醫。さらに
旧い字体は醫の下の部分が巫で巫女さんの
ことだから、その時代は占いが医学の主流
でした。これが2千年くらい前から醫に変
化します。この字の下の酉は酒のことで、
堅いケースの中で発酵させる、漢方薬でい
うなら、よく煎じてよい味のよく効くお薬
に変化させるという意味です。ですから、
この醫は占いにかわって、薬物療法という
客観的な医学の誕生を指し示しているわけですが、その薬物療法と酒は切って
も切れない縁があるというわけなのです。
 酒は百薬の長ではありますが、過ぎれば毒で、古医書には次のようにあります。
「少しく飲むときは血を和し気をめぐらし、神を壮にし寒を防ぎ、愁を消し、
水臓を暖め、薬勢をめぐらす。過て飲むときは、神を傷り、血を耗し、胃を潰
し、怒を発し、甚しきときは吐血、消渇、労傷を醸し、明を失す。禍をなすこ
と少なからず、尤も甚しき者は酒によりて国家を亡ぼす。戒め、慎むべし。」
 注釈は要らないでしょうが、最後の方の甚しき者は、アルコール中毒は、家
を亡ぼす。これは事実ですよね。本人と周囲のものを亡ぼします。
●薬との相乗効果も
 漢方薬としての酒は、文中「気をめぐらせ寒を防ぎ、薬勢をめぐらす」と
いった効能なら私共にもすぐ納得できるところです。「薬勢をめぐらす」とい
うのは、冬の晩、空きっ腹に暖かいお酒を飲むと五臓六腑にしみわたることを
私共は実感しますが、そのようにお酒で漢方薬を服用したとき、その成分が目
的の五臓六腑にしみわたりやすいということでしょう。
 漢方薬として「酒」が単独で薬になることは勿論ありません。生薬を酒をふ
りかけながら炙ってその性質をよりつよめたり、生薬を酒に漬けておいてから
丸薬にしたり、薬を酒で煎じて服用したり、丸薬や散剤を酒で飲み下すなどの
利用法です。皆さんも、当帰芍薬散を服用する御婦人、八味丸を愛飲している
御主人など、できれば少量の日本酒で服用されるとよいでしょう。 一方民間薬
的な使い方としては、このシリーズの初めの方に登場した屠蘇酒や梅酒のよう
な「浸薬酒」がいろいろあります。



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