136.わさび—日本特有のスパイス—

日本伝統のワビとサビ?

芥子(からし)と同じくアブラナ科、大根などの仲間です。辛味成分もシニグリンで共通です。辛い大根おろしも同じです。わさびは、どうも日本特有のものらしく、スパイシーな薬の多くが漢方薬と言われるように大陸から伝わったものが多いなかで、ユニークなものです。御存知のように山奥の清流に自生しますが、江戸時代元禄の頃には日本各地で栽培されました。清冷な水が必要です。

漢字では、葉がアオイに似ているから山葵と書いてワサビと読ませます。葉や茎も美味しく食べられます。何故ワサビと呼ばれたのか由来はよくわかりませんが、最近では、作家の小林信彦氏の、「日本伝統のワビとサビの味がするからそれをくっつけててワサビと言ったのだ」という珍説があります。もちろん、ワビやサビなどの言葉のできる以前から「和佐比」と表記されていましたからこれはジョークです。

ワサビは「おろし方」に秘訣があることはグルメの皆さんは御存知でしょうが、それは、先程もふれた主成分シニグリンが加水分解で、辛味成分アリルカラシ油になるときの酵素の働きが、おろし方に左右されるからです。葉つきの方から静かにまわしながらおろすのです、ゆっくり静かに。それから食べるときワサビをしょう油にといてしまうとすぐ辛味が消えてしまうので、刺身にワサビを乗せた状態で食べるのがグルメといわれます。(うるさいこっちゃ!)

芳香健胃剤としての効果も

薬効はもちろん、芳香健胃剤として胃腸の働きを高めます。刺身の殺菌効果もあるし、漢方的に言えば身体を暖めて発汗させる辛温解表薬であります。
芥子と同様すりおろしたワサビを湿布として痛みに使っていましたし、煎じぐすりとして、江戸時代には、「をこりにはくすりまじない多ケレドワサビ煎じ飲むが妙なり」といわれました。をこりとはマラリア(虐)のような身体ふるえる熱病のことです。

粉ワサビは、いわゆる西洋ワサビで大根と同じように畑で栽培しますが、これも冷と湿が大切で温暖な水はけのよい畑ではとれません。大根と違って種子ではなく根(種イモ)で増やします。里イモやジャガイモと違って種イモは増えたあとでも残ります。これは生姜に似ています。これを粉末にして緑色の色素を加えたものが粉ワサビです。もちろん本物の芳香にはかないませんが、ワサビ漬けなど多くのものに利用されます。

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